時食住 五右衛門風呂
里好房の五右衛門風呂
山から降ろした広葉樹の除抜材あるいは間伐材を丸太大にチェンソーで40センチ程の長さに揃える
チェンソーは支点二カ所が支えなら歯が噛むので下から歯を入れる
支えが支点が三点であるならば迷い無く上から歯を深めな位置で噛ませることができる
佐田林業さんから教わったが、チェンソーはきっともっと奥が深い。
40センチ大の丸太を切り株の上に置いて薪割り斧を重力に任せて振り下ろす。
素直な丸太は綺麗に割れる。
切りたてのシャバシャバの丸太は素直に割れてくれない。
薪ストーブには乾いたナラの薪が炉にちんちらと赤い灯を灯しながら
時折爆ぜる音が静間をよぎる
時計型薪ストーブなら15分で水からお湯が沸く
祖父祖母の使っていたものなので
40年はとうに使い古しているサビだらけの薪ストーブ
火鉢一つに対して六つの炭と竹炭三枚あれば、餅が表裏8分で焼ける
火鉢一つに対し六つの炭では部屋の温度はさほど変わらないが
火鉢を二つにして十二本の炭と六枚の竹炭、
薪ストーブで部屋の温度が2度上がる
私の家には祖父母がかつて使っていたものが沢山生きている。
昔のものは長持ちする様によく造られていると心から想う。
ここからは祖父母が戦後に手造りで建てた長野の家、
かつての里好房(りこぼう)の話。
五右衛門風呂の釜の側面には浅間山の噴火時に出た軽石をセメントで着せている。
風呂釜の約一メートル下方より薪を焼べる焚き付け口がある
そこはお勝手よりやはり一メートル下段に位置していて
すぐにタキギを採りに出易い様に外界と通ずる様になっている
窯の入り口から古びたタウンページの132ページ目を破り丸めて
その上にたきぎをのせて火が安定したら
その上に火持ちのよい広葉樹の薪を焼べる
火が弱くなれば団扇に手を添えて叩く様に風を送る
時計型薪ストーブと同じく、しばらく放っておいた時には
薪の残り火が少々あるならばその上にタキギをのせて火吹き竹で炎を復活させる
五右衛門風呂は慣れなければ入れる熱さになるまで3時間はかかる
日暮れ前に焚き付けを始める
五右衛門風呂は底が煮えたぎっている為、必ず落とし蓋を足で沈めながら入る
又、焚き付け口から上方へ位置する部位に背中を当てると大やけどするので、
絶対に背中を触れてはならない位置がある。
入浴者へ酒や虹鱒の燻製を差し入れ出来る小窓を作っておいたのも祖父の粋な計らいだ
火の番人「湯加減如何ですか?」
お風呂の中の人「おっいいあんばいだ」
もしくは お風呂の中の人「もうちょっとくべてくれ」
あるいは お風呂の中の人 「ぼんぼんもしてくれ」
これが合言葉